管理

馬のマイコトキシコーシスについて(3)

馬の飼料に含まれるマイコトキシンについての続き。

 馬が摂取するマイコトキシンを『0』にすることはできません。ですが、高齢馬など感受性が高いと思われる馬もいます。口から入ったマイコトキシンが、体に吸収される前に体外にボロとして排泄させることのできる製剤があります。

今回は、マイコトキシンと食欲・疝痛の関係。そして、マイコトキシン結合剤について

馬のマイコトキシコーシスについて(1)

馬のマイコトキシコーシスについて(1)身体を作る毎日の”ごはん” 草や配合飼料。 湿気の多い日本では特に、カビが生えることありますよね。 餌の管理に気を付けなければならない理由。 今回はホンのさわりだけ。。。...

馬のマイコトキシコーシスについて(2)

馬のマイコトキシコーシスについて(2)前回はマイコトキシンのことについて、簡単に紹介しましたが、今回はもう少し詳しく。 ...

疝痛とマイコトキシコーシス

Evaluation of Inner Exposure of Horses to Zearalenone (ZEN), Deoxynivalenol (DON) and Their Metabolites in Relation to Colic and Health-Related Clinical-Chemical Traits

2021年 ドイツ Institute of Animal Nutirition(ITE)からの報告

疝痛で入院した102頭と、臨床的に健康な55頭の血液検査で、マイコトキシンの暴露に差があるかどうかを調査しています。

デオキシニバレノール(DON)と、ゼアラレノン(ZEN)とその代謝物であるα-ZEN、β-ZEN を測定し、牧場間(給餌内容の違い)によって、その値に差があることが分かりました。

疝痛馬群では、DONが検出され、それに伴い肝酵素(AST/γ-GT)などが上昇する傾向が認められました。

Clinical and pathological examination of mycotoxicosis as an associated risk factor for colic in equine  Microb Pahog.2022

2022年 エジプト・カフルシェイフ大学 からの報告

疝痛の発症件数が増加傾向にあったエジプトの2牧場を対象に回顧的コホート研究が行われました。

調査期間は 2018年の1月~12月。

調査対象頭数は 132頭。

マイコトキシン中毒と疝痛の発症率について関連性を調べたところ、調査期間中において132頭中24頭で疝痛の発症が認められ、高濃度のマイコトキシン(アフラトキシン・オクラトキシン・フサリウム)を含有していた餌を食べていた。

すべての結果より計算して求められた、マイコトキシンによる疝痛の発症の頻度は

1000頭を飼育した際に18回/1カ月

Clinical & pathological examination of mycotoxicosis as an associated risk factor for colic in equine より

マイコトキシン結合剤

マイコトキシン結合剤は、馬の消化管内で毒素と結合し、体内に吸収される前に糞便として排出するのを助ける物質です。

代表的なものに、粘土鉱物、有機ポリマー、活性炭、などがあげられます。

 この分野の研究はまだ限られていますが、毒素を結合するサプリメントを与えることで吸収量を減らすことができるとされています。

 これらを与えることで、飼料の質の変化に伴うマイコトキシン摂取量に対する安全性をある程度確保できるかもしれませんが、基本的にはカビの生えた餌を与えないことが重要であることに変わりはありません。

Effects of feeding a blend of grains naturally contaminated with Fusarium mycotoxins on feed intake, serum chemistry, and hematology of horses, and the efficacy of a polymeric glucomannan mycotoxin adsorbent              J Anim Sxci. 2003

9頭の馬を対象に調査を行っています。

マイコトキシンで汚染された餌を与えられた馬では、対照飼料摂取時に比べて飼料摂取量が減少し、血液中のγ-GTが上昇していましたが、GMポリマー(高分子グルコマンナン)を加えると、γ-GTは低下し、飼料摂取量が増加しました。

多くの結合剤が商品化されて販売されています。

マイコトキシンに対する反応は、高齢馬などでは特に影響が大きくなる可能性があります。

食欲の低下している馬や、高齢馬を所有している方は、担当の獣医師と相談してみてください。

🐎Mahalo🐎