For Vet : ずいぶん前になりましたが、正常な骨盤のエコー検査方法について解説しました。その後、何人かの先生にお聞きしましたが、わかりやすいけど、それでも実際の症例は診断が難しいとのこと。
一度にたくさんの症例を紹介すると、また長くなるので、今回は 股関節の骨折症例 の診断について紹介します。

実は、意外と多い股関節の骨折。 しっかり診断できるようになりましょう。 股関節をまたぐ骨折は上図の赤線で示したようなラインで骨折することが多くあります。
レントゲン検査
大きさの制限があるので、骨盤のレントゲン検査は限られますが、DRが広く普及してきた昨今、10数年前よりは格段に診断できる可能性は高まっています。

股関節を腹側から背側方向へ打ち上げて撮影しています。 右の股関節に骨折線がおそらく恥骨の方向へ伸びているのがわかります。
エコー検査
そうはいっても、ポータブルのレントゲンではなかなか300Kgは難しい。 そこでエコーの出番です。
まずは、以前の記事をご覧ください。
③股関節 と ④寛骨臼の背側ライン~座骨 を参考にしてください。




骨盤のこのような画像をイメージするためには、三次元的にエコーを理解する必要があります。CTもいいですが、こんなのはいかがでしょう? 手作り感満載‼ 股関節背側ラインのエコー画像描出イメージです




CT 検査による答え合わせ
この時点で診断できるのは、エコーが届く骨の表面ラインだけです。すなわち、股関節の内側や、恥骨などは臀部の外側からではエコーで描出できません。 ただ、股関節背側の骨折の多くは、股関節を通って閉鎖孔や恥骨方向へ伸びることが多いことがわかっています。
いかがでしたでしょうか?
今回は、股関節背側を通過する骨折についての診断の解説でした。
明日からの診療に生かしてください。
Mahalo !!