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馬の歯の破折について

 スポーツや事故などの外傷によって歯牙(歯本体)が歯の頭から根の先にかけて、さまざまな位置で折れた状態を歯牙破折(しがはせつ)といいます。

 人では、ウェイトトレーニング・ボクシング・アメフト・柔道・ラクロス等、プレー中に相手やボールに接触して歯が折れることがあります。

 馬は???

破折の原因

外傷性の破折

原因:蹴られる・硬いものを嚙む、昨夜壁にぶつかるなどの外傷

特徴:特に 切歯(前歯) に多く、臼歯(奥歯)は頭部の構造に守られているため比較的少ない。

   臼歯の外傷性骨折は稀ですが、歯科器具の不適切な使用などでも起こります

特発性(原因不明)の破折

原因:外傷歴が無い馬にみられる破折

特徴:臼歯によくみられる (上顎臼歯:特に109/209)

   破折のパターン (Euuine Dentistry 3rd ed.より)

上顎歯の破折パターン   (上が頬側・下が内側)
下顎歯の破折パターン   (上が内側・下が頬側)

最も一般的な骨折パターンは、歯の頬側にある2つの歯髄腔を通るもの(赤線)と、インファンディブラ(緑線)を通るもの。その他にも、他の歯髄角を通る様々な骨折パターン(紫線)が起こり得ます。

臨床症状

無症状の事もありますが

1: 噛みかえし (≒ Quidding)

食べ物を口に入れても正常に咀嚼・嚥下できず、口から半分噛んだ草や飼料を吐き出してしまいます

2:行動の変化

3:口臭(Halitosis)

などが主な症状です。

食べている時の様子に、これまでとの変化がある場合は、獣医師に相談して口腔内検査をしてもらいましょう。

経過・治療

  1. 小さな板状骨折では、歯髄の感染が軽度で済み、三次象牙質(あたらしく形成される象牙質)で封鎖された場合に限り、自然に落ち着くこともあります。
  2. 歯髄感染から歯根病変に進行するケースでは抜歯が必要です
  3. 骨折片が動いて痛みや潰瘍を起こす場合は、部分的に除去することもあります

実際の症例

 慢性的な副鼻腔炎で来院した4歳・サラブレッド

前上顎洞に液体が貯留している
Screenshot
左の正常な歯         (右が頬側)
右の破折した歯:109         (左が頬側)
右の破折した歯:110         (左が頬側)

破折した歯の周囲の歯肉は炎症を認めず、歯も安定していたため、一旦は副鼻腔炎の手術を行い症状が治りましたが、数日後に再発したため、割れた2本を抜歯しました。

①抜歯する歯を道具で掴んでいるところ
②抜いてる途中。長い歯が出てきています
③109/110を抜歯したあとの歯槽
④歯槽にパテで一時的な蓋をします
抜いた歯。 7cmほどあり 大変。。。

 今後は、副鼻腔の治療を続けることになりますが、歯根の問題がこれで解決すれば、再発がおさえられるかもしれません。

 歯を抜く道具、過程はとても面白いので、また今度紹介します。

 明日はきっと疲れて肩があがりませんので、このへんで。。。

Mahalo