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PBM 第3章:損傷予防とパフォーマンス向上

 運動によって筋肉や腱、靭帯などの組織に生じる微細な損傷のことを「マイクロトラウマ(微小外傷)」と呼びます。

これは健康な動物や人間でも日常的に起こる生理的な現象です。

マイクロトラウマ とは

例えば筋肉。 筋トレもそうですが、筋繊維がのびちじみすることで、繊維の一部に微細な裂け目が生じます。

特に高強度の運動や慣れない動作では、負荷が大きくなりやすく、マイクロトラウマが起こりやすくなります。

これらの損傷は炎症反応を引き起こし、修復過程で筋肉が強くなる(超回復)ことにつながります。

  • ・通常は数日で回復しますが、過度な運動や休息不足が続くと、慢性的な損傷や炎症を引き起こします
  • ・適切なウォームアップ・クールダウン・栄養補給・休息が重要です。

関節軟骨 にも同様のことが起こっています。

激しい運動や繰り返しの荷重により、軟骨表面に微細な亀裂や摩耗が生じることがあります。

これは初期段階では症状が出にくく、画像診断でも検出が難しいことがあります。

競走馬・競技馬のような、高強度の運動負荷が持続すると、軟骨の変性や関節炎のリスクが高まります。

軟骨は、筋肉と違って血管がないので修復能力が低く、損傷が蓄積しやすい組織です。

専門的ですが、詳しく知りたい方はこちらをどうぞ

BTCニュース 科学の箱馬車⑪ 骨軟骨代謝と馬の臨床 

PBMの可能性

筋・関節系の予防ケア

運動前後に定期的にフォトバイオモジュレーション(PBM)を実施することで、組織の柔軟性、血液循環、関節の潤滑性を維持することが可能です。馬および小動物モデルにおける研究では、PBMが運動誘発性炎症の抑制、遅発性筋肉痛の軽減、および軟部組織における毛細血管血流の改善に寄与することが示されています。

Photobiomodulation therapy in equine practice: A preventive strategy for muscle fatigue

Veterinary Journal, 2022 Barale et al. (2022)

PBMT(赤色・近赤外線光)は、筋肉の代謝改善、炎症軽減、回復促進に寄与する。

実験では、運動前後にPBMTを施した馬の筋肉系の酵素(CK、LDHなど)が有意に安定していた。

PBMTは競技馬の筋疲労予防やパフォーマンス維持に有望な非侵襲的手法である

くわえて、運動前に使うことで、筋損傷や腱の過負荷による傷害のリスクを低減すると言われています。

競走、障害飛越、馬場馬術などの競技馬は、普段の管理や歩様検査では分からない、ちいさなちいさな体の損傷が蓄積しています。

例えば

  • 支帯靭帯の過伸展(伸びすぎ)による損傷
  • 浅指屈筋腱の損傷
  • ひざ関節(特に大腿下腿関節)の炎症
  • 鞍圧や騎乗バランス不良による背中の痛み など

PBMは、炎症性マーカーの調節およびコラーゲン再構築の促進に寄与することから、これらの損傷の予防的介入手段として期待されています。

Inflammatory response modulation by low-level laser therapy in tendonitis
       Lasers in Surgery and Medicine, 2002; 31(5): 393–399 Ribeiro MS, et al. (2002)

・実験モデルで、低出力レーザー(LLLT)の照射が炎症性細胞の浸潤を減少浮腫や血管拡張を抑制させた。

・特に、マクロファージや好中球の活動が調整されることで、炎症の進行を緩和させる可能性がある

 LLLTは腱炎の炎症を軽減し、治癒を促進する補助療法として有望である

実際の使用方法

第15~17胸椎の棘突起衝突症

 キッシングスパイン(正式名:Overriding Dorsal Spinous Processes(ODSP))は、背骨の棘突起と呼ばれる上に伸びる部分がぶつかって痛みを生じる病気です。馬は背中が痛いので、鞍や人を乗せるのを嫌がったり、跛行したりします。

 治療はその重症度などに影響されますが、ショックウェーブ・理学療法・鍼治療・外科手術などが選択されてきました。

PBMブランケットは、この治療にも経験的な有効性が認められています。

その際の使用方法は、毎日15分1日1回を2週間。痛みが軽くなり、復帰したレースで勝利することができました。

毎日のケアに使うには?

ケガ予防や治療だけでなく、パフォーマンス向上を促す期待も持たれています。

それは、筋肉の酸素供給がアップするため持久力やトレーニングへの適応が敏感となることが予測されているからです。

実際の使用時間は

飯塚さん
  • 乗る前:主要な筋肉に10〜15分照射
  • 乗った後:関節や背中など負担がかかる部分に照射
  • 週1回:全身照射(専用ブランケットやマットを使用)
  • 休養日:気になる部分にピンポイント照射

高齢馬は、長年の損傷の蓄積で動きがゴトゴトしがちです。

PBMは痛みを和らげる効果があるので、薬に頼らずよい生活を送らせてあげられかもしれません。

飯塚千裕さん

PBMを紹介して日本に広めようとしている飯塚さん。 彼女の記事があります。

競馬ラボ より

次回は蹄に対する PBM について! 乞うご期待!

Mahalo