2025年5月1日よりFEIルールで開催される競技会では、鼻革の締め具合の確認には指定のデバイスが必要となりました。
国内競技においては、総合馬術は2025年5月から、その他の障害馬術、馬場馬術およびエンデュランス競技は2026年4月からの実施とします。

FEIは、常に馬の福祉に注意を払っています
FEIイベントでは、鼻革の締まり具合を評価する『Noseband Measuring Device』が導入されました。
これまではスチュワードが指で検査していましたが、デバイスの使用により、公平性が保たれるようになります。

ノーズバンド測定デバイスの使い方
FEIのホームページには、以下のように使用方法が説明されています。
デバイスの使い方
① おちついてゆっくりと馬の横から近づきます。
② 空いている手で鼻革を持って、デバイスを入れるスペースを作ります。
③ デバイスの薄い先端側を、優しく鼻梁の正面と鼻革の間に通します
④ 鼻革をくぐらせてデバイスを下方向に引き抜きます
⑤ しずかに馬から離れる
⑥ 消毒用のワイプでデバイスをふき取る
つけ方の動画は こちら から
FEI Veterinary and Welfare Rules – Changes for 2025 | FEI
鼻革をきつく締めてはいけない根拠
鼻革の締めすぎによる馬への影響は、これまでに多くの報告がなされてきました。
鼻革を強く締めると、生理的ストレス反応の結果、
- 心拍数の増加
- 心拍数の変動の抑制
- 眼の温度の上昇
- 口周りの動きの抑制
などの変化が認められるそうです。
2017年のDohertyらの報告
An Objective Measure of Noseband Tightness and Its Measurement Using a Novel Digital Tightness Gauge
では、鼻革の下の骨や軟部組織に沿った様々な場所に圧力センサーを取り付けて、締め付けによる圧力を測定しました。
(実験では死体の頭部を用て、各部位にかかる圧力がどう変化するかについて、詳細に調査しました)



馬の顔の『骨』は丸い形ではありません。
鼻の骨の両脇は軟部組織で、さらに骨の幅は数cmと幅が狭いので、鼻の骨に一番強い圧力がかかる ことが確認されました。
鼻革の下に
指2本入る : 適切
指1.5本 : ほとんどの人が耐えられないレベルの圧力。(止血帯で感じる圧力の約3倍)
指1~0本 : 軟部組織の柔軟性は失われ、最大限に圧縮される。
指 0 本 : 止血帯の圧力の約10倍
競技や運動中は(駆け足や飛越中)、動きや振動で局所の圧力がさらに高まる可能性があります。
ヒトでは、50mmHgの強さで2時間圧迫すると、神経細胞が損傷されることが報告されています。
馬の鼻革の締め付けは、いくつかの顔の筋肉・血管・顔面神経などに損傷をおよぼし、ヘッドシェイキングにつながる可能性も憂慮されています。
競技会における測定装置
この測定装置は、2025年5月1日からすべての分野のFEI大会でノーズバンドの締め付けすぎを防止するために使用されます。
FEIスチュワードは、大会前または大会後に検査行うことができます
すべての馬が検査されることもあれば、一部の馬を無作為に検査する可能性もあります。
競技前の測定において規定以上の締め付けを認めた場合、その後に再調整されない限り(ゆるめる)、スタートできません。
競技後にノーズバンドがきつすぎることが判明した場合は失権、選手にはイエローカードが発行されます。
ご自身でデバイスを購入する方はこちらから
FEI ファンショップ : FEI Measuring Device
Mahalo