今回は、急性腹症時の超音波検査シリーズ Part-Ⅱ 結腸です。
結腸壁の正常像
観察できる位置は 主に点線で囲った部位です。
結腸は、粘膜面のガスや内容があるために、多くの場合プローブに近い側の結腸壁の観察だけ可能です。
正常な結腸壁は3-4mm以下で、蠕動が観察されます。
右背側結腸はスムーズで小嚢のない大きなカーブを描くことが多いですが、腹側結腸でも同様にみられることがあるので、画像上から明確な区別は難しいこともあります。
生産地で最も多くみられる結腸による急性腹症は『結腸捻転』です。
分娩から数カ月以内で、『腹囲膨満』『激烈な痛み』を示す場合、まず結腸捻転を疑います。
結腸捻転を疑う時のエコーは、右の前・腹側(赤矢印で囲んである部位)‼
結腸捻転でのたうち回る馬のエコー検査は危険です。もしエコー検査をするのであれば、一瞬でサッと右前をみましょう。結腸の肥厚がみえるはずです。
結腸壁の肥厚
主に『結腸捻転』や『大腸炎』で結腸壁の肥厚が認められます。 右背側結腸炎でも部分的な肥厚がみられます。
超音波の画像は、実際の臓器と比べてイメージをしてもらい、大量の画像をみて勉強するのが一番。
結腸捻転した症例の実際の粘膜の変化と、エコー画像を比べると 理解が進むと思います。
イメージができたところで、実際の結腸捻転での結腸壁肥厚画像を
すべて結腸捻転の症例です。
画像が『もじゃもじゃ』してわからない。 ケド怪しい。。 そんな時はプローブを回転させて断面の向きを変えると、上のような腸管壁を長軸に切ったきれいな画像が得られるかもしれません。
結腸壁の肥厚
結腸壁の肥厚がみられたら、あとは症状や経過から診断が必要になります。結腸捻転であれば、救命する方法は迅速な開腹手術しかありません。
本シリーズの次回は、結腸動脈の走行について。 よくみる右背方変位の診断に有効です。
Mahalo