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疝痛時の対応について

疝痛を疑う馬をみたときに                                      何をしなければならないのか、そして、何をしてはいけないのか 知っていますか?

バイタルサイン・状態 の チェックをしましょう

心拍数・呼吸数・体温を測定しましょう。本当におなかが痛いのでしょうか??

臀部の筋肉震え / 蹄の指動脈の拍動や蹄の熱感と跛行 / 鼻や口からの泡沫などの症状は、

スクミ / 蹄葉炎 / 食道閉塞・心不全 などかもしれません。

排便はありますか? 固さや量は普段と比べてどうでしょうか パドックや馬房内もよくチェックしましょう

すぐに獣医師に連絡をしましょう

軽い異常でも、時間がたつことで治療不可能な大きな問題に発展することもあります。また、胃に消化管液が貯留した場合、最悪であれば数時間のうちに胃が破裂してしまうことがあります。そうなると助けることは不可能なので、極力早く連絡をしてください。

獣医師に伝えるべき必要のある情報は

① 馬のデータ(品種・性別・年齢・妊娠の有無・疝痛歴や病歴の有無・)

② 経過と症状 (いつから? 症状は? 痛みの強さは? バイタルサインは?)

獣医師到着まで曳き馬をしましょう

適度な並足程度の運動は、腸管の運動性を刺激し、ローリング(ゴロ・横臥)などした際に受傷すること     を防ぐことができるかもしれません。事実、疝痛発症馬の半分以上は、曳き馬で治る傾向にあります。ですが、あまり激しく運動すると、腸管運動の抑制、腸管破裂、疲弊などの状態悪化につながるので、やりすぎはよくありません。

曳き馬ができないときは

  • 極力頻繁に馬の状態をチェックしましょう。

疝痛馬の状態は、急激に変化することがよくあります。最低でも15~20分おきには必ず見る必要があります。

  • 小さめのパドックや広めの馬房のような安全な場所で様子を見ましょう

ローリングやキックで自傷しないように気を付けてあげてください。

離乳前の馬であれば、痛みで暴れる母馬から仔馬を避難させてあげることも一つの方法です。ただし、見えないところまで移動させると母馬が興奮してしまうかもしれません。馬の性格などをみて慎重に対処しましょう。

  • 飲ませない & 食べさせないでください。

乾草・青草・穀物 疝痛の状態ではそれらのすべてが状態を悪化させる危険性があります。一時的に痛みが和らいだ時に食べようとすることがありますが、獣医師が来て胃カテーテルを挿入したり検査をするまでは、水も与えないようにしましょう。

治療行為について

  • バナミンなどの投薬を過剰投与しないでください。

経口のバナミンを使うこともあるかもしれません。使用した場合は担当獣医師に必ず 何時に・どのくらいの量 を与えたか伝えましょう。 痛みの評価が難しくなります。

鎮痛剤(バナミン)が効かないのは、鎮痛剤の投与量が足りないのではなく、その多くは痛みの強さが鎮痛薬の能力を超えているということです。バナミンの過剰投与は、後日の胃潰瘍や腎障害を誘発する可能性があります。投薬への反応がないことは、さらなる検査や処置が必要なことを示唆する重要な所見です。

  • 浣腸しようとしないでください。

馬の直腸は非常に破れやすくデリケートです。一度でも直腸を裂創させると、二次的な腹膜炎を発症し、それは多くの場合救命不可能になります。

事前準備について

有事の際の馬運車と搬送する診療所の手配は、平時から整えておくのが理想的ですが

  • 発症した時点で、馬運車・診療所への搬送の手はずを確認しておきましょう
  • 治療の選択肢に 外科手術 をいれるかどうか考えておきましょう

さいごに

 疝痛を予防するための飼養方法はありますが、残念ながら完全に防ぐことはできません。

 また、救命するために手術が必要なこともあります。そのような馬では、

時間の経過とともに腸管のダメージが進行し

(手術をしても)助かる可能性が低下してしまいます。

疝痛の多くは突然に遭遇するため、慌てたり、動揺することもあるでしょう。

ですが、場所によっては搬送にかかる時間もあります。より迅速な判断をするためにも、普段からの準備を整えておきましょう。